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薬師が進める用法用量

霖之助wikiに自分のサイトがぁ!!!
素直に感動してしまいました。
わざわざ報告までしていただき本当にありがとうございます。
よっしゃあ!そういうわけで気合い入れてリクの甘永霖SS!



<薬師が進める用法用量>


…甘い…のかな?甘く書けたとは到底い思えない…
でも頑張ったよ!

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「こんにちわ、いらっしゃるかしら?」
店主森近 霖之助が営む、使い方の解らない道具の数々がところ狭しと並べられた香霖堂に珍しい客が来店した。
赤と青の奇抜なデザインの医療服に身を包んだ、里で賢人と名高い八意 永琳である。
「いらっしゃい、あなたが来るとは珍しい。置き薬の徴収かい?それとも…」
「今日は買い物ですわ」
「ほぉ、では何をお望みでしょうか?」
にこりと笑うその笑顔に霖之助はますますもって珍しいとおもわず営業口調へと変わる。
それは霖之助が永琳程の賢人がこんな辺鄙な道具屋に買い物だとは思ってもいなかったからである。
同時に自分で自分の店を辺鄙だとたとえてしまったことに唸ってしまう。
「このネックレス頂けるかしら?」
いつの間に取ってきたのか永琳は既に商品を霖之助の前まで持ってきていた。
銀の十字をクロスの中央に小さな宝石が組み込まれたトップがつけられた簡単なネックレスである。
霖之助は賢人もアクセサリーの類に興味があるのか、と思わず関心を示すのであった。
「…もっと実用的な物を買うと思っていたのですが」
「あら、アクセサリーも十分実用的じゃない?」
「まぁ、女性にとっては実用的かもしれないね」
そんなもんなのかもしれないなと思いつつ、ネックレスの値段を提示する。
それを受けて永琳は懐から小さな小瓶を取り出してカウンターの上に置いた。
「お代はこれで。即効性の疲労回復薬ですよ」
霖之助は『一発爽快 爽快一番』と書かれたラベルの付いているそれを見て、思わずため息を吐きかける。
香霖堂では物々交換も一応可能ではあるが、霖之助にとって疲れという言葉はめったに聞かないほど無縁のもので必要性は皆無なのだ。
それは普段から忙しくないということを指しているのだが、霖之助は気にしないことにした。
「あいにく僕は疲労とは無縁の生活をしてるからね。お代は別の物にしてくれないか?」
それに対し、不敵な笑みを浮かべる永琳。
ドリンクをひょいと持ち上げて霖之助の目の前まで持って行く。
「たとえ動かなくても人間は疲れを蓄積していくものよ。それは半人半妖のあなたでも言えることね」
たとえば中枢性疲労というのは脳の調整力の失調による…と専門的なことへと話は移っていった。
霖之助は最初は聞くふりをしてその場を乗りきろうと思ったのだが、永琳の話術にいつしか話の波にのまれ、これは自分も疲労回復薬を服用せねばならないな、などと思うようになってしまった。
「わかった。それで取引をしよう」
まんまとのせられた霖之助は勢いでそう口走ってしまった。
「では契約成立ね」
言うや否や永琳はさっさとネックレスを首へとかける。
そのあまりの早さからここで霖之助はまんまと載せられたことに気づく。
今更気づいたとしても後の祭り。
まぁ、疲れは解消できるんだと自身に言い聞かせ何とか気分を和らげる。
賢人が作ったとされる疲労回復医薬と自分が暇を見て作った簡単なネックレスとを比べ、少し得をした気分になるのであった。
「私の話を聞いて疲れたでしょう。早速服用してみてはいかが?」
「そうさせていただくよ」
疲れの原因はどちらかというと乗せられて、まんまと薬と取引させられたことが一番であるのだが。
グイッと一気に疲労回復薬と呼ばれたそれを飲み干した。
どろりとした液体が口っぱいに広がって、なんともいえない苦いとも甘いともいえない奇妙な口当たりが後味として口内に残る。
飲み終えた後でも残るその後味に思わず顔をしかめる。
たとえ即効性といっても本当にすぐ効くわけではない。
それでも霖之助は少し疲れが取れたような気になる。
「そういえばキスの味って知ってるかしら?」
「………それは山で釣れる魚のことかい?」
「いいえ、接吻のことよ」
あまりにも唐突なことに霖之助の思考が一瞬停止する。
その反応がおもしろかったのか永琳はくすくすと小さく笑う。
おそらく彼女なりの冗談なおだろう、と勝手に結論付けて、せっかく少し解消されたと思った疲れが再びどっと押し寄せてくるような感覚に見舞われた。
「はぁ、冗談も少しはやすみや…す…」
どっと押し寄せてきた感覚が肉体的にも疲労を感じさせ始めたのか、だんだんと体のいうことがきかなくなってくる。
痺れが口にしようとした言葉を強制的に押しとどめてくる。
明らかにおかしいと感じた霖之助は必死の思いで永琳の方へと首を向けるが、目の前の賢人はただ微笑んでいるだけであった。
「あらあら、どうやらあなたの妖怪側がこの薬を毒として反応したみたいね」
「人間用に作ったものですし」などとにこやかに答えてくる始末であった。
「…あ…ああ…」
必死に助けを呼ぼうと声を絞り出してもそれは言葉にならなかった。
死神のような笑顔を浮かべた永琳が動かない霖之助にゆっくりと近づいていく。
自身の顔を霖之助の顔に近づける。
霖之助の口にほろ苦い何かが口内に流れ込んでくる。
しばらく触れ合っていた口が唐突に離れていく。
するとどういった手品なのか、体中の痺れが徐々に和らいでいくのを感じ始めたのだ。
「解毒薬よ。毒の効果はこれですべて消えるはずだわ」
その言葉通り、霖之助の体から痺れという感覚がすっきり爽快と綺麗さっぱり消えていった。
ようやく口が聞けるような状態となり、こんなものと取引させたことに何か一言言ってやろうと口を開きかける。
が、その言葉は永琳によって遮られることとなった。
「で、キスの味はどうだったかしら?」
にこやかに聞いてくるその笑顔に霖之助は若干の怒りを覚えながら吐き捨てるように皮肉で返した。
「毒のような苦さだったよ」
永琳はその皮肉に薬と微笑んで、懐から『一発爽快 爽快一番(半妖用)』と書かれた小瓶をカウンターに載せる。
「ええ、良薬は口に苦いものよ」
その言葉に霖之助は「敵わないな」とため息で返すしかなかった。
きらりと輝くネックレスは霖之助が思ってた以上に彼女に似合っていた。

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