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お祭り天狗

拍手用SS書いてたら中途半端な大きさになったからこっちに載せ乗せ。
拍手よりも先にリクを完成させなあかんのに何やってんだか…


<お祭り天狗>


時期がだいぶ過ぎてるけど気にしない。

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しとしとと幻想郷全土が憂鬱になる梅雨が始まる少し前。
博麗神社に例大祭と呼ばれる祭りが催された。
この日一日限り妖は人を襲わず、人も妖を恐れず騒ぎ楽しむのだ。
「店主さん、店主さん!あれ面白そうじゃありませんか?」
そして僕 森近 霖之助は天狗の射命丸 文と一緒にこの祭りに参加していたのだ。






太陽が東の空から顔を出し、妖怪の時間が終わったことを幻想郷に伝え時のこと。
僕は布団から這い出て井戸からくみ上げた水で寝ぼけた頭に喝を入れていた。
一陣の風が僕の周りに影を作りだしたのはその時の事であった。
「おはようございます!文々。新聞です!」
影を作りだした張本人は笑顔で新聞を手渡してくる。
直接手渡してくるとは珍しいなどと思いつつ、僕は持っていた手拭いで顔を拭き、その新聞を受け取った。
「やぁ、珍しいな。普段は窓から投げ込んでくるっていうのに」
「あ、あの、今日はちょっと頼みたいことがあるものですから」
控え目に答えた後、広げた羽根を納めてすとんと地面に降りたつ。
その様子を見ながら僕は頼みごとについて考えてみる
「頼み事か…何か物いりかい?」
「いえ、違います」
買い物でないことに少しがっかりする。
そんな僕の様子に文はあわてて言葉を続けた。
「じ、実は取材に協力しと貰いたいことがあるんですが…」








そして今の状況である。
昔使っていた旧式の写真機につられ思わず了承してしまったのだが。
「ほらほら店主さん、りんご飴ですよ!りんご飴!」
花柄で活発的なデザインの浴衣を着こむ文は、僕の浴衣の袖を引っ張ってりんご飴の屋台へ連れていく。
りんご飴を買って、幸せそうにかじりつく姿を見れば取材をする気があるのか疑いたくなる。
「きゃ!」
後ろから人がぶつかり文がよろりと転びかける。
その拍子にその手に持っていたりんご飴がポロリとその手から離れてしまう。
りんご飴は重力に逆らうこともなく地面へと胴体着陸をする。
表面を覆っていた飴が割れ、中のリンゴがむき出しになる。
「あ~~…」
文の笑顔が一転して悲しみへと変わってしまう。
足元の蟻は思わぬごちそうに喜び勇んで飴へと飛び付いていく。
文が買ったものなので僕には関係のない話だが。
「僕が新しいのを買ってあげるよ」
文の悲しい顔にやられたのか僕は思わずそんなことを口走っていた。
どうにも彼女にそんな表情は似合わないと思ってしまったからかもしれない。
「え、でも…」
文は驚いた表情で固まってしまう。
無理もない、落とした原因は彼女かぶつかってきた人であり僕とはまったく関係無いのだ。
それなのに僕が立て替えてやるなどと言いだしたのだ。
「今日は祭りだ。泣いてるよりも楽しんだ方がいいだろ?」
それだけ言ってさっさとりんご飴を買いに行く。
なけなしの小銭を取り出してりんご飴と交換をする。
そのりんご飴をさっきからずっと袖を引っ張っている文へと渡す。
「あ、ありがとうございます」
文から笑顔という名のりんご飴の対価をいただき満足する。
そのまま祭りの取材を続けようと歩き始めた所で、ぐいっと強く袖が引っ張られる。
「あの…一口貰ってください」
なぜか真っ赤な顔をしながらりんご飴を差し出してくる文。
もうすでに対価を頂いてるため断ろうかとしたが、相手の好意を無下にするのも失礼だと思い差し出されたりんご飴のさきに噛り付いた。
飴とリンゴの香りが口の中を甘ったるくする。
「えへへ…」
とろけたように幸せな笑顔を僕に向けながら、より一層強く袖をつかみなおしてくる。
やれやれと溜息を吐きつつ、彼女との取材を再開した。
せっかくの祭りだ楽しんでしまおうじゃないか。









霖之助が噛り付いた所にすでに小さな噛り跡がついてたことは文しか知ることはなかった。



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