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見世物のカエル

リク完成しました。
けろちゃんのです。
なんか変なところでネタが入ってるけど気にしない。
最後がまじめっぽいけど気にしない。
きっと『へんないきもの』って本のせいだ。
おもしろいもん、あれ。


<見世物のカエル>


続きからでどうぞ

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「暇」
ただ一言、いや一文字で現在の状況を言い表す。
洩矢 諏訪子は守矢の神社の本殿にて、ただゴロゴロと転がっていた。威厳もくそもあったものではない。
「だって~、早苗も信仰集めに里の方に出かけちゃってるし、神奈子は神奈子で山の妖怪の宴会とかに行っちゃってるみたいだし」
誰に言うわけでもなく呟いた独り言は、本殿内を木霊して、虚空へと消え去っていった。

……ゴロゴロゴロゴロ

「暇よ!」
勢いよく起き上がり、その勢いを殺さずにそのまま立ち上がる。器用なことだ。
「早苗も神奈子もいないから、もういっそ勝手に抜けだして遊びに行ってやるんだから!」
「二人がいないのが悪いんだからね」とぶつくさと悪態をつきながら本堂から飛び出して行った。
本堂には誰もいなくなった。




「…これは…」
霖之助は思わずそれを拾い上げた。
ガラスの中に入ったそれは絶望という言葉を張り付けて、霖之助の方を見つめてくる。
それは助けてくれと懇願しているようにも感じられた。
「この堅さだったら…金づちが必要か」
岩にたたきつけて割ってもいいが、それをしたら中のものから祟られそうである。
しかし放っておけば余計にたたられそうなので、ガラスに囚われているそれを持ち帰ることにするのであった。
「外の世界の人間は何を考えているんだ…」
溜息とともにとぼとぼと無縁塚から香霖堂へと向かうのであった。




「早苗が最近寄ってるってとこはここかな?」
香霖堂と書かれた古道具屋の入口で仁王立ちしている姿は、まるで小さな子供が無人の家に冒険と称して勇んで入っていく直前のようにも見える。
「よし、突入!」
どうやらそのとうりのようだ。

――カランカラン

鈴の音とともに入口の扉が開かれた。
息苦しくなるほど物が積まれた店内は、埃っぽくまるで未開の遺跡入ったかのような気分にさせる。
もちろん諏訪子もそんな気分で高揚させていた。
カウンターの上に乗っている、それを見るまでは…
「………」
空気が凍る。
まるでメイド長に時間が止められたかのように諏訪子はぴたりと動きを止めていた。
しばらくたってからまるで時が動き出したかのように…

「きゃああああああああああああああああああ」

諏訪子の絶叫が店内に響き渡る。
カウンターの上に載せられたカエルの標本を指さして…




「な、なんだ!?」
低い所にある戸棚で金づちを探していたら突然の絶叫。
その絶叫に驚き、思わず立ち上がってしまい低い戸棚に頭をしたたかぶつけてしまう。
痛みで顔をしかめるが追い打ちとばかりに、その頭にゴツンと重たいものが落ちてきた。
それが探し求めていた金づちでなければ、そのままそのものに当たっていたかもしれない。
霖之助は痛む頭をさすりながら、金づちを持って倉庫から店の方へと飛び出していく。
「失策だったな」
すぐ無つかるだろうと甘く見ていたため、カエルの標本を出しっぱなしにしていたのだ。
もしも客がこんな時にやってきたのならば、店に悪い評判がつくのは確実であろう。
サッサと飛び出してしまっていなければいいわけはできる。批難や冷たい視線は免れないが…
そのことに希望を抱いて居間から顔を出せば、批難や冷たい目ではなく、鉄拳が霖之助を迎えることとなった。




「うぼっはぁ!」
諏訪子は再び居間の方へと吹っ飛びながら帰っていく霖之助を睨みつける。
そのまま追いかけるように、ひっくり返ってる霖之助のマウントポジションを取り、拳を構えた。
「君がッ!泣くまで!殴るのをやめない!!!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
あわててそれを止めようとする霖之助だが、怒っている者が待てと言われて待つわけがない。
「ちょ…ま…待って…くれ…ご、ごか…い…」
諏訪子の拳で顔を殴られつつも、必死に言葉を紡ぐ霖之助。
その必死な様子は傍から見るものからしては、同情してやりたいと思うようなものであった。
「誤解?」
「そ、そう、誤解だ」
ようやくその言葉が届いたようで、諏訪子の動きがぴたりと止まる。
首を傾げて問いかける姿は何ともかわいらしいが、霖之助にとっては未だに解かない拳に視線がいってしまうのも無理からぬことだ。
「あれはあなたが手に入れたものよね?」
「まぁ、僕がが拾ってきた物であるから今はそうなるんだろうな」
「作ったものじゃないのね」
「当然だ!」
「でも、あれはあなたが手に入れたもの、つまりあなたはあの子をあんなにするのに加担した。同罪ね」
否、届いていなかったようだ。
諏訪子の拳が再び降りあがる。
「ま、待ってくれあれは供養しようとして持ってきた物なんだ!」
その拳が霖之助の目の前でぴたりと止まる。
「供養?」
「そうだ!あのガラスが硬くて割れなかったからそれを割ろうと思ってここまで持って帰って来たんだ。石にあてて割ったら失礼でもあるし!」
止まった拳が解かれた。
諏訪子は霖之助の上からどいて手を出してきた。
霖之助はその手を掴んで体を起こす。
「ごめんなさい、勘違いしてたみたい」
「いや、あのまま出しっ放しにした僕も不謹慎だったからね」
痛む顔をさすりつつ、ずれた衣服を正し直す。
「まぁ、説明もなしにいきなり襲いかかったのは頂けないと思うけどね」
「あーうー」
すまなそうな顔をしながら顔を伏せる諏訪子。
そんな様子をため息交じりに眺めながら、殴られて落とした金づちを拾い上げる。
「まぁ、今から供養するけど君も一緒にするかい?」
「も、もちろん!」
カエルの標本を持って先行する霖之助のあとを、諏訪子はとてとてとついて行った。




線香が一本地面につきたてられている。
その線香の前に、二人は手を合わせて黙祷を捧げる。
「…それにしても外の世界の人間は何を考えているんだろうか…」
霖之助がぽつりと呟いたその一言が、妙にその場に響き渡る。
「なんでも理科の化学の実験らしいよ」
「カガク?外の世界の魔法のことかい?」
「そう、今はほとんどやんなくなっちゃったみたいだけどね」
「…そうかい」
霖之助のその声は、少し安心しているような声色であった。
生き物の体を見世物のようにしているのに恐怖を感じていたのかもしれない。
今はカエルを標本としているがもしかしたら人間も…
「ところであなたはどうしてこの子を供養しようと思ったの?」
霖之助の思考はぷつんと途切れた。
疑問を提示してきたその少女に目を向ける。
「ああ、あのままだったら妖怪に転化するかもしれないだろうと思ってね」
「なるほどね」
「それよりも僕は君がなんで外の世界に詳しいのかを聞きたいね」
「さぁ、何のことやら」
あはははーと子供っぽい笑い声で話をはぐらかす諏訪子。
やれやれと言った感じで溜息を吐く霖之助。
「ところであなたの名前は?」
「森近 霖之助さ。そう言う君は?」
「洩矢 諏訪子よ。よろしくね」
二人の間で笑みがこぼれる。
一陣の風が線香を揺らす。
なんとも奇妙な時がしばらくの間続いたのであった。




「暇」
ただ一言、いや一文字で現在の状況を言い表す。
洩矢 諏訪子は守矢の神社の本殿にて、ただゴロゴロと転がっていた。威厳もくそもあったものではない。
「だって~、早苗も神社の方に遊びに行っちゃったし、神奈子は神奈子で山の見回りとかに出かけちゃってるみたいだし」
誰に言うわけでもなく呟いた独り言は、本殿内を木霊して、虚空へと消え去っていった。

……ゴロゴロゴロゴロ

「そうだ!」
勢いよく起き上がり、その勢いを殺さずにそのまま立ち上がる。器用なことだ。
「霖之助の所に行こう!」
最近よく行く古道具屋に喜び勇んで飛び出して行く。
本堂には誰もいなくなった。
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