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コンゴトモヨロシク

というわけで久々にSSを書きました。
韮さんに鈴仙と霖之助のSSかけと言われたので思いつきで書きました。


『コンゴトモヨロシク』


即席でぱぱっと書くつもりが三日もかかりましたとさ。


鈴仙・優曇華院・イナバと森近 霖之助はそれほど親しい仲ではない。
この二人の関係は端的にいえば買い手と売り手だ。
たとえば霖之助が古道具を売るという立場で、鈴仙のほうはそれを買う客という立場である。
もしくは鈴仙が置き薬を売る立場で、霖之助がそれを買う側だ。
まぁ、鈴仙が霖之助の道具を買うことはほとんどないのだが……
ともかく二人はお互いが買い手と売り手といった関係であった。
それ以上でもそれ以下でもなかったのだ。









ここは香霖堂。
店主、森近 霖之助が営む古道具屋である。
店の商品が外にまであふれており、周囲に近寄りがたい雰囲気をふりまいていた。
そんな香霖堂に来客が来ていた。
「つまり、この薬は……であって……という成分が……によって副作用が……」
「ふむ、なるほど」
ぴんと立てた兎耳が特徴的な鈴仙・優曇華院・イナバである。
彼女は小さなカプセル錠をつまみあげ、薬の特徴、成分、副作用の説明を続けていた。
対する霖之助は興味深そうに聞き、うなずき、相手に合わせて相槌を打つ。
「…………というものなんですよ」
「なるほど」
長々とした説明を終え、ほっと一息ついた。
霖之助はその長々とした説明を聞き終り、ふかくゆっくりとうなずいた。
「相変わらずわかりづらいな」
鈴仙の説明に対する素直な感想を述べた。
「なんですとー!?」
思ってもみない反応に、鈴仙は一人香霖堂で絶叫する。
「でも、貴方にだけは言われたくないわ」
しかし、すぐに気を取り直して反論する。
巷での霖之助の評価はあまり芳しくないのである。
口を開けば、よくわからないことやとんでもない理論を永遠と語り続けることで有名なのだ。
「僕の説明が分かりにくいだって?あいにく君よりもよほど平明な説明ができるね」
「はぁ、一体そんな自身どこから出てくるんだか」
霖之助の態度に鈴仙は思わず溜息を吐いてしまった。
風評を真に受けているわけではないが、彼の商品の説明はよくわからずに終わることが多いのだ。
直に体験している身としては反論したくもなるものである。
彼女自身も人里での評価は気味が悪いなどと散々なのであるが、そこは棚にあげる。
「そもそも、貴方の説明じゃあ商品が何なのかわからないことばっかりじゃないですか」
「なるほど、たしかに僕の商品の説明でわからないことはあるかもしれないな」
「……自覚してるんじゃないの」
鈴仙は溜息を吐くのも忘れてあきれ返った。
この店主、はやくなんとかしなければ。おもわずこんなくだらない使命感にとらわれてしまいそうである。
「だが、僕の商品の説明と君の薬の説明を比べるのは酷だと思うけどね」
「へ?」
霖之助の思わぬ反論に素っ頓狂な声をあげてしまう。
「そもそも説明とは、すべてを理解したうえでその事柄をよくわかるように述べることだ」
「いや、まぁ、そうですけど」
「しかし、店の商品は未知なものが多いのさ。店主である僕でも名前と用途くらいしか知らない。君の一から十まで解っている既知である薬の説明とを比べることなんかできないのさ」
「店の商品が解らないこと自体、店としてはどうかと思うけど……」
「古道具屋なんてどこもそんなもんだろ?香霖堂だけ特別というわけではないさ」
話は終わりだ。とでもいうかのように本を読み始めた霖之助。
鈴仙はこの店主の道楽かげんに頭を痛めた。
どうしてこんなになるまでほうっておいたんだ。などと叫びだしたくもあった。
「って、貴方の説明についての話はどこいっちゃったんですか!」
かわりに別のことを叫ぶことになった。
もとは霖之助の説明の得手、不得手についての話であったのだ。
店の商品が未知云々などどうでもいい話である。
「なんだ、まだわからないのか」
それに対して霖之助は深々とした溜息で答えた。
まるでできの悪い生徒にあきれる先生のような態度であった。
「な、一体どういう意味ですか!」
その様子にさすがの鈴仙も憤った。
思わず店主につかみかかりそうなほどに。
「そのままの意味さ。未知と既知の説明を比べる無意味さは君も理解できただろう?」
「ええ、まぁ」
未知と既知の説明は、未知事体が説明することができないものということは理解できたが、それが説明の得手、不得手にどういう関係をもたらすのかが分からないのだった。
店としての在り方は納得していないが。と心の中で付け加えておく。
「つまりそういうわけさ。さっきの僕の話は説明の意味をしっかりと満たしていたのさ」
「ああ、なるほど」
つまり、相手が理解できる話をすることが説明であり、さっきそれを鈴仙に実践して見せたというのだ。
確かに説明するのはうまいのかもしれない。などと納得してしまう。
「って、それじゃあフェアじゃないですよ!この薬を説明してみてくださいよ!」
それこそフェアじゃないような気がするんだが……。などと言いつつ、置き薬から薬を一つとりだした。
そのままため息交じりに説明する。
「これは風邪薬だ。風邪をひいたときに、朝昼晩の食後に二錠飲めば治るものさ。副作用で眠気を誘うかもしれないな。
 まぁ、あとは一度に飲みすぎないようにすればいいさ。飲みすぎると逆に風邪がひどくなるから用法要領を守って服用してくれ。と、こんな感じかな?」
「って、短!確かにわかりやすいけどそんなのでいいんですか!?」
「こんなものでいいんだよ。専門用語は相手が知っているならともかく、知らないのであれば答える必要はないさ」
「でも、それじゃあ何がどう効くのか分からないじゃないですか」
「詳しく知りたいなら相手が聞いてくるさ。知らない者からすれば、複雑な修飾語をつけるより簡潔にしたほうが大衆の理解を得やすいものさ」
「貴方は人のこと言えないと思いますけどね」
若干、腑に落ちないこともあるが霖之助の弁は正しいことのように感じられた。
周りではいい評判の聞かない店主だが、腐っても知識人であることを鈴仙は改めて認識するのであった。
どこか感心した心地の鈴仙に一つの提案が頭をよぎった。
「あの、もしよかったら私の説明の問題点を挙げていってくれませんか?」
「ん?一体どういう意味だい」
「私が上手に説明ができれば、より多くの人妖に薬を利用してもらえると思うので」
「なるほど、君はなかなかの勉強家だな。いいだろう、答えていこうじゃないか。そのかわり……」
「今後とも御贔屓に、ですか?」
「わかってるじゃないか」
にやりと笑みを浮かべる霖之助に、鈴仙は小さく苦笑を返した。
鈴仙は薬売りとしての能力向上のためだけに霖之助に講師を乞うたわけではない。
明確な薬の説明ができれば、自身の人里での評価は少しは改善されるかもしれない。そんな打算的な考えから提案したのである。
周りの評価に左右されやすい彼女ならではの打算的な考えなのかもしれない。
ともかく、これを期に二人の新しい関係はこの時始まったのであった。







こうして二人は買い手と売り手という関係から一つ飛びだした関係を持つこととなった。
今後二人がどういう関係になるかは、また別の話である。
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